令和プロフェッショナルダンス教師協会 主催

第5回ワークショップ(講習とフリー練習会)@ダンスジャルダン大森山王 St 2020/010/18

【スタンダードの基礎(ライズ&フォール)】 講師 中井 信一 

 

 ライズ&フォールは上下運動であることは皆様良くご承知の 通りです。但し、 テキストブックを見るとライズ&フォールの項目には、「3 の終わりでロア」等と出ていますが、フォールという言葉は出て来ません。

 一体ロア とフォール はどのように違うのでしょうか 。ロアは「ヒールを下ろす」というような使い方をし ます。フ ォール は、それ自身が落下することを意味します。ライズ&フォールと言いながらフォールという言葉が出てこないのは不思議ですが、踊るためにはちゃんとした使い分けが必要です。ロアは脚部でコントロールできる状態であり、フォールは重力に乗ってひたすら前へ又は後ろへ落ちてゆく感覚が必要です。

 例としてワルツのナチュラルターンを検討してみましょう。まずは予備動作(1,2,3,4,5,6)からスタートします。カウント1から3で左横へステップ、カ ウント4で右へ戻ります。この時、単に右へステップするのではなく、ヒップ、ショルダー、ヘッドの順に左へのローテーションを伴ってワインドアップします。カウント5で前進がスタートします。通常前進スタートと共にすぐにロアを始める方が多いのですが、左足が前進を開始する(カウント5の半ば)まで高さを保ちます。ここからロアがスタートします。カウント6で左足ヒールが着地する直前までがロアになります。つまり後ろ足、右足でボディをサポートしながら前進しているわけです。カウント6予備歩左足ヒール着地直前からフォールが始まります。最初に述べたように重力に任せて落下してゆくイメージをもって下さい。

 このフォールはカウント1で右足ヒール着地するまで続きます。このカウント1でヒールを着地した瞬間が、一番足を開き、低い状態になっています。ヒールをついた状態から前進してゆくと膝の位置がだんだん高くなってゆきます。結果として緩やかなライズがスタートしま す。ただ本人の感覚ではライズしようというよりは、強く前進し、ドライブをかけようという事です。この本人の意図しないライズを私はメカニカルライズと名付けました。これがカウント2直前まで続きます。カウント2からいよいよライズがスタートします。以前の踊り方よりカウント1半ばからカウント2迄ドライブが長くなった分加速は強くなりますが、一気にライズしないと音楽に遅れてしまいます。この「長いドライブから急峻なライズ」が現代ダンスの特色と思われます。カウント3で両足をクローズします。ライズ&フォールで注意しなければならない事は、カウント3でクローズする直前にロアがスタートしている事でしょう。 

 一方クローズの直前から胸郭、特に左胸郭は左へ強く回転し、ヘッドは右へ回転します。これでクローズした時の美しいシ ェイプを作ります。又このアクションが続くスピンターン等のフィガーへのワインドアップになっています。

                               戻る